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【12/6開催】「Over The Top SUMMIT 2024」終了後レポート

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ここ数年で急速に成長を遂げたOTT市場は、企業のメディアプランやマーケティング施策においてもはや欠かせない存在となっている。2024年12月、東京・六本木のグランドハイアット東京で開催された「Over The Top Summit 2024」では、主要キー局とABEMAらメディアと広告主が一堂に会し、各企業の具体的な取り組みやOTT活用法、効果検証の事例などに加え、今後業界全体として取り組むべき課題など活発な議論が展開された。


まずは「Connected TVにおけるプロフェッショナルコンテンツと広告効果」と題して、主要キー局5局とABEMAがセッション。日本テレビ放送網 山下弘祐氏、テレビ朝日 青柳拓氏、TBSテレビ 寺田龍平氏、テレビ東京 清水浩之氏、フジテレビジョン 土屋尚氏、AbemaTV 綾瀬龍一氏が登壇し、AJA 田平淳二がモデレーターを務めた。

ここでは、プロフェッショナルコンテンツとUGCの視聴傾向の違いやCTVの広告効果、AIの活用、コンテキストを重視した施策など、幅広く各局の取り組みが紹介されたほか、広告体験の改善や違法コンテンツへの対応が重要視され、今後の市場動向や技術革新に対する期待が示された。

続いてのセッションでは、広告主の立場からKDDI 後舎満氏、リクルート 仁賀田充氏、花王 山本創氏が登壇。モデレーターであるAJA 野屋敷健太を交え「テレビとデジタルの統合広告戦略におけるConnected TVの未来」をテーマに意見を交わした。

テレビCMとデジタル広告を連携させることによる広告効果の向上に焦点を当て、認知度向上から購買意向の喚起、来店促進、売上の最大化までの一連のプロセスが語られた。各企業からCTVやOTTの活用方法、広告効果の評価指標、ターゲティングの課題について、具体事例を挙げて紹介されると、企業によってどのような位置づけで活用を考えているのか、その違いが明らかになった。さらに、広告の最適化や新しい指標の導入が進められている中、さらなる発展のためには業界全体で基準統一が必要という指摘も挙がった。

3つめのテーマは「事業を成長させるためにOTTをどう施策に組み込んでいるのか?~メディアプランニングから効果検証まで」。エン・ジャパン 田中奏真氏、DeNA 村口 賢一郎氏をスピーカーに迎え、ad:tech tokyo事務局 古市優子氏がモデレーターを務めた。

おもにOTT市場の発展段階における広告戦略の重要性が議論され、特に効果検証やユーザー属性に基づくコンバージョン改善に焦点があてられた。テレビCMとOTTの組み合わせ、CTVマーケティングの可能性、データ分析による広告効果向上、運用型広告と予約型広告の組み合わせ方について具体例を交えながら解説され、最後に業界全体での情報共有と成功事例の発信が求められた。

当日は、これらセッションのほか、地上波テレビCMとOTTの連動を成果につなげる上での最適解について、参加者たちがテーブルごとに意見を交わす「Round Table Discussion」や「Networking Party」など、参加した各企業のマーケターが活発に情報交換する場が設けられ、具体的な知見を深めることができた。

参加者たちからは「テレビ局の方が一同に集まる場自体が非常に少なく、さらに各局がポジショントークではなく本音で話していたことが印象的でした。彼らが視聴者の事や広告主のことを考えていることが伝わり、とても有意義な時間でした」「各社事例を詳細な定量データで知ることができ、自社で運用することのイメージが湧きました」「CTVの特徴を活かせるように目的を定めて、従来のデバイスと使い分けると効果的なのでは、という気づきを頂きました。また、効果検証の方法についても各社の考え方含め具体的に話していただいたのでとても参考になりました」等の感想が寄せられた。

参加者の90%以上がすでにOTTに出稿しているなど、もはやメディア施策において定着し欠かせなくなっているOTT市場。一方で、活用法については定番・王道など勝ちパターンがまだまだ見えていないだけに、各社の取り組みについて情報を得たいという意識と熱量の高まりが感じられるサミットとなった。